最高の結果を出すには 2017年4月30日 図書室フォレスト出版水野和敏 by misanobi. 非常識な本質 ヒト・モノ・カネ・時間がなくても最高の結果を創り出せる 水野和敏 著 私の本職は、クルマの開発だが、1989年から95年まで日産子会社のレーシングチームで畑違いのレース活動をやっていた。 好きでやっていたのではなく、突然の異動だ。 当初は、完全に落ち込んだ。 メーカー選手権のレースで、当時の日産が実行していたのは、誰もが常識で考えることだった。 つまり「ヨーロッパの一流レーシング会社に作らせれば、良い成績が残せるはず」というものだ。 そんなバラバラで、負け癖がついたチームに飛ばされた私は、社内の抵抗を覚悟の上で「常道」とはまったく違うことをすることにした。 まず「レースで勝つための本質は何か」を徹底的に考えた。 具体的には、レース監督、車両開発責任者、サーキット技術責任者という、本来3人の責任者を1人で担うことにした。 短期間で結果を出すためには、3人がバラバラでは非効率だからだ。 次に、予算もチームも、従来より大幅に小さくした。 普通は大きくするところだが、満たされた「ヒト・モノ・カネ・時間」は組織を崩壊させるという信念を持っていたのだ。 効率のいい仕事をするには、資源は徹底的に絞り込むべきだ。 そう考えた私は、予算を通常の4分の1以下にし、ヒトも通常250~500人のところを50人に絞った。 人数が減れば、1人当たりの仕事量は増えるが、各スタッフの仕事の権限は5倍に増える。 その結果、自らの考えで開発、実験に取り組み、レースに臨むことになると考えたからだ。 スポンサーリンク 「思考の盲点」という言い方がある。 日頃から「こういう時には、こうすべき」という常識に沿って仕事を続けていると、仕事そのものの本質や、やっている意味を見失ってしまうのだ。 要するに、考える因子がなくなり、仕事の「何のために何を」が見えなくなるのだ。 結果的に、自分の仕事に疑問を抱かなくなり、惰性でこなしていくようになるのだ。 しかし、仕事は、物事の本質を見極めて取り組むべきだ。 それができれば「ヒト・モノ・カネ・時間」は半分で済むようになる。 そして、結果は倍になる。 企業がやってきた常識に捉われず、非常識と思える本質を追求したからこそ、ヒト・モノ・カネ・時間をかけずに最高の結果を生み出せたのだ。 この本質を理解すれば、世界最強の仕事術が見てくる。 そのためには、常識を突き放すことだ。常識の壁をぶち壊した先にこそ、本当の自分の希望が見つかるのだ。 前の記事 次の記事