勝ち組の企業

人気店はバーゲンセールに頼らない 勝ち組ファッション企業の新常識

齊藤孝浩 著

 

ユニクロは週末を狙う

ユニクロは、毎週土曜日に週末限定値下げのチラシを入れるため、それがわかっている家計にシビアな主婦は、平日にはユニクロで買い物をしない。

その結果、週末の売上構成比が60%以上になる。

ザラは月曜と金曜に新商品が並ぶ

ファッションに限らず、1週間のうち、もっとも集客と売上が見込める週末の土曜日・日曜日に向けて準備をするのは、小売業の常識とされている。

しかしながら、平日5日の売上高は週末2日よりも大きいのが現実である。

ザラでは、1週間を売上構成比でちょうど半分に分け、月曜日に週の前半対策、金曜日に週末対策をすることで、業界が年間52週あると見るビジネスチャンスを倍の104回にして考えている。

 

H&Mは火曜日と木曜日に売場を模様替えする

H&Mでは毎週火曜日と木曜日の2回、売場に変化を加え来店客に新しい提案をしている。

火曜日にマイナーチェンジをし、木曜日にビッグ(カラー)チェンジをすることによって、販売2週目でも新しいコレクションのような新鮮さをアピールする。

週に2回来店する顧客も飽きさせることはない。

また、2~3週後に次の新しいコレクションが到着すると、前のコレクションは売場の奥へと移動していく。

その際も2週目同様に火曜日の小さな変化と木曜日の大きな変化を繰り返していく。

しまむらは毎日新しい商品が入荷する

顧客が時間さえあればつい立ち寄ってしまう販売戦略の究極は、毎日新しい商品が入荷すること。

ファッションセンターしまむら(以下、しまむら)は、日曜日を除く毎日、新しい商品が入荷する。

1店舗当たり1品番各色各サイズ1枚ずつしか入荷しない。

たとえあっという間に売れても追加補充がされない、「売り切れ御免商品」になる。

流行に左右されるファッション商品より、ある商品は売り切れたとしても、多品種の中から宝物探しを楽しむかのように、別の商品を見つけてもらえればよいと考える。

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フォーエバー21も毎日投入&売り切れ御免

しまむらの売り切れ御免に近い商品戦略を取っている企業に、FOREVER21がある。

同社は、毎日1店舗に1品番1色当たり20枚だけを投入し、あっという間に売れても追加発注をかけない方式で販売していることで知られている。

フォーエバー21は都心の集客力のある立地に、若い女性をターゲットにして出店する。

低価格で販売し、一定期間が経過した商品は、店内常設セールコーナーにて大幅値下げで売り切られている。

 

ザラとH&Mはバーゲンセール時に売場をガラっと変える

普段は、流行色別に旬のスタイルコーディネートを提案する売場作りをするザラとH&M。

店内のそれぞれのコーナーでは、テイスト別に色を絞って、アウター、インナー、ボトムスを組み合わせ、来店客自身がコーディネートを容易にイメージでき、服が選びやすくなるよう工夫を凝らしている。

一方、バーゲンセールになると、例えばザラは、ある棚はワンピース丸ごと4990円均一価格にしてしまい、均一価格のPOPが全面に押し出される売場となる。

 

各店ごとの返品・交換ルールを確認する

大手ファッション専門店の返品・交換ルールについて確認してみると、例えば、ユニクロは購入より3ヵ月以内、しまむらは当日含め7日以内、H&Mは30日以内、ザラは1ヵ月以内と期限はまちまちである。

ほとんどのファッション専門店は、商品が未使用で買った時と同じ状態であり、レシートを持参すれば、返品・交換を受け付けている。

各社の期限の違いは、返品・交換を受け入れる店舗で、返品の受け入れ時に代替商品があるかどうか、その後に再販売することが可能かどうかで決められることが多く、レシート持参は店舗での手続きをスムーズに行うために求めている。


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