ビジネスのリスクヘッジとは

リスクは金なり

黒木亮 著

 

交渉の8割がたは、自分にほかの選択肢があるかどうかで勝敗が分かれる。

交渉に臨む前に、決裂した場合にはほかにどんな選択肢があるかよく整理しておく。

それだけでなく、事前に(交渉中も)積極的に増やしておくことが肝要。

逆に相手がどんな選択肢を持っているかを熟知していなければ交渉はできない。

相手の選択肢を徹底的に研究し、相手はどんな条件なら呑めるのか、どこまで呑ませられるのかを見極めておく。

交渉の「板張りの壁」を探す。

堅固な城でもどこか一ヵ所ボロの板で塞いだ場所があれば、そこを突くとあっけなく崩れる。

そしてこの「板張りの壁」は往々にして組織内の人間関係である。

一般的にいって外国(特に米系)の組織の場合、トップから現場まで相手を蹂躙してでも組織の利益を極大化するという共通目的に全員が一枚岩で結束しているのに対し、日本の組織では現場を知らない幹部や組織の利益を勝ち取るより保身やごますり、あるいはミスをしないことを優先する人間が数多くいて皆がバラバラの方向を向いている。

交渉に勝つか負けるかは、相手との戦いより、どれだけ自分の側を固められるかで決まるケースが多い。

海外での交渉に際して相手はまず大きく出てくる。

ある品物を5の値段で取引したいと思えば、買い手ははまず2といい、売り手は7といって交渉は始まる。

日本人は、これが頭で理解できても、いざ現実になると相手のはったりに引っ張られてしまう。

あとで考え直して「こんな条件、受けるべきではなかった」と後悔するような条件をうっかり受けてしまったときは、「もう一度考えてみたが、これはやはり受けられない」と開き直るしかない。

契約書にサインでもしない限り、概ね再交渉に応じてくれる。

特に相手に不当に有利な場合は、その可能性が高い。

その他、交渉に際して留意すべき点は、相手に対する敬意と礼儀を失わない。

精神的には一歩引いて、常に醒めた気持ちで臨む。

相手の言い分を注意深く聞き、こちらの利益を損なわない要求は極力受け入れる。

相手に対して自分は何ができるか、どう汗を流せるかを常に自問する。

何かあったとき組織間の各部署の助けを得られるよう日頃から意思疎通を図る。

交渉術は、相手の望むことをよく理解し自分の希望をきちんと伝え、互いに納得できる結論を導きだすという真摯な共同作業を行うための技術。

「8の力しかない者が10の力の者と戦う技術であり、10の力のある者が3の力しかない者に負けないための技術」

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イスラム金融の特徴

利子の禁止

パートナー契約において資金を提供した者が事業の成功に関わりなく一定の利息を取るのは労せずして利益を上げることで許されない。

酒、豚肉、タバコ、武器、賭け事、ポルノといったイスラム教で禁止(ないしは好ましくないと)されているものに関わる取引にも資金を使うことができない。

イスラム金融での資金の運用は、融資が認められない代わりに、実物資産の売買によるリターンは認められ、その原則に従ったファイナンス形態が創りだされる。

イスラム金融の資金の特徴として、イスラム法に則った形態にするため契約関係が煩雑である反面、

コストが比較的安い。(商業銀行の融資より年率で0.125~0.25%安い)

中近東やパキスタンにおいては、先進国の金融機関が取れないリスクでも取る。

現地通貨を潤沢に持っており、当該通貨で長期のファイナンスを提供することができる。

というメリットがある。

国際金融の世界では、政府が発表するマクロ統計や対外債務、外貨準備の数字は、一応の目安に過ぎない。

国際融資をするうえで頼れるのは「疑いようもない事実」である。

日本に関していえば、500兆円のGDPに対して国と地方の借金が700兆円超あり、増え続ける借金に対して政府が何ら有効な対策を取っていないという事実。

借金が増えすぎれば返せなくなるのは政府も家計も同じで、そうなれば国債の支払い停止か通貨増発によるインフレしかない。

現状の政策が続く限り、国債と円が暴落するのは単純に時間の問題となる。