営業をマネジメントする
石井淳蔵 著
従来の営業職とは、ノルマが課され粘り強くがんばって売り込んでいくという印象がある一方で、顧客と深い信頼関係が長年の間に築かれ、そこに営業の仕事の誇りがあるという側面もあった。
営業マンの個性と努力に依存した、いわゆる「属人営業」の世界である。
現代の営業は、
①顧客の商品知識が豊富になってニーズが複雑になっている。
②競争相手も多く顧客の選択肢が多い。
③新商品がすぐに現われ、商品のライフサイクルが短い。
④以前に有効だった販促手段がすぐに効かなくなっていく。
という背景を抱えている。
こういう状況では一人の営業マンが顧客の問題を解決して満足を与えることが難しく、組織営業によって対応していくことが有効になる。
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営業のプロセスごとに役割を分担し、それぞれの専門性を高めることで新しい状況に対処する。
現代の営業とは、「顧客との関係をマネジメントすること」である。
取引相手を説得、操作の対象とすることや自社の人間を管理して成果をあげるという「ヒトを管理する発想」ではなく、「関係を管理する発想」である。
営業のプロセスを5段階に分解し、たくさんの営業案件がどのような進捗状況にあるかを把握するための営業案件マップをつくる。
営業案件マップからマクロな様相も見えてくる。
どの段階に力を注げば最終段階にたどりつく案件を多くすることができるかは、マップの動きを見ていればわかってくる。
営業マネジャーは、各段階の案件数の変化によって状況の変化を予測し対応する。
マネジメント概念:組織が環境との関係を秩序づける志向
営業を属人的な世界から解き放ち、マネジメント概念を導入して、営業にかかわる人がそれぞれの得意な部分で達成感をもって生き生きと働けるようにする。